東京電力福島第一原発で7日、汚染水浄化装置から放射性物質を含んだ水が外部に流れ出るというトラブルが発生した。
今回のトラブルを受け東電8日、原因の調査と今後の対応についての内容を以下のように発表した。
◆水が漏れた原因及び調査
本来閉まっているはずの手動式の弁が開いたままとなっていた為、そこから水が漏れ出ており、作業員が作業手順書通りの業務を怠ったことが今回のトラブルの原因と説明している。
手順書に記載されている内容としては、「建屋内にある汚染水の浄化装置を洗浄する際は、装置と排気口をつなぐ配管の手動弁を閉じること」とあるが実際には一部の弁が開いたままの状態になっていた。
また、手動弁の開閉について、運転中(稼働中)や洗浄中は弁を閉め、停止中は装置内で発生した水素を排気口から放出するために弁を開けるのが本来だ。
しかし今回の操作について弁を閉める必要があったにもかかわらず、16カ所のうち10カ所が開いたままになっていた。
これについて、東電は8日の記者会見で人為的なミスではないかと問われ、「作業員からの聞き取りも含めて原因の調査中で、状況がまとまり次第結果を改めて報告する」と発言した。
調査の結果、東電は5.5トンにもおよぶ水が漏れ出たとしており、セシウム137などのガンマ線を出す放射性物質が国に報告する基準の1億ベクレルをはるかに上回る220億ベクレルが含まれていたと推計している。
これに伴い、8日の夕方から水が染み込んだと思われる建屋周辺の土壌の回収作業を開始した。
また、水の漏れが発見された時間帯の大気中の放射性物質の濃度を測るダストモニターの値がごくわずかに上昇したとのことですが、現在は元の数値で安定しており、放射線量を測るモニタリングポストや排水路のモニター値に異常は見られていないとのことです。
◆東電並びに他機関の今後の対応
福島県は東京電力福島第一原発で放射性物質を含む水が漏えいした問題で、8日、東電に原因究明と再発防止を申し入れた。
原因究明について、渡辺仁県危機管理部長は福島第一原発田南達也所長に対し、今回のトラブルを「極めて遺憾」とした上で、設備面・作業面・管理面等の徹底調査と分析をはじめ、再発防止の徹底、安全の管理体制の再構築、正確で理解しやすい情報の発信の実施を強く求めた。
これについて田南所長は、「県民の皆さんをはじめ、広く社会の皆様にご心配と、ご不安を与えてしまい申し訳ない」と謝罪を述べたのち、「今回のようなことが二度と起こらないよう全力で対策に取り組む」と述べています。
加えて、原子力規制庁は東電に、汚染の拡大を防ぐため、土壌に染み込んだ分も含め流れ出た水を可能な限り回収するとともに、近辺にある排水路などの監視を強化するように口頭で指示をした。
また、今回のトラブルについて中国外務省も記者会見で、「東京電力の内部管理が混乱しており、無秩序になっている。これは慢性的な問題だ。」と非難し、日本側に透明性のある情報の開示と説明を求めた。
その上で「長期的で効果的な国際モニタリングの体制を確立していく必要性と重要性を改めて認識した」と発言しています。
◆まとめ
原子力発電に反対の声がまだ多く残る中の今回の1件は、反対の声をより一層大きくするものにつながりそうです。
近隣への健康被害も懸念されるが現在はそういった症状は確認できていない。
現在も中国は日本産の水産物の輸入の停止措置を続けていて、日本政府は中国に対し、早期の撤廃を呼びかけている最中のできことだけに日本側への不信感も増したのではないか。
日中の水産物の輸入問題解決が少し遠のいたと感じ、今後の日本政府の対応も重要となります。
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