宇宙事業会社「スペースワン」は3月9日に予定されていた小型固体燃料ロケット「カイロス」の打ち上げを延期したと発表した。
見物客からは残念の声が上がっており、同日に行われた記者会見で延期の理由と今後の予定についてコメントした。
◆「カイロス」の打ち上げ延期を発表。
3月9日の午前11時に和歌山県にある自社の発射場「スペースポート紀伊」で予定されていた、小型固体燃料ロケット『カイロス』の初号機の打ち上げを延期したと「スペースワン」が発表した。
延期した理由については、同県那智勝浦町のホテルで記者会見を行い説明した。
同社は今回の打ち上げにあたり、安全確保のために発射場所周辺の海域6.5キロ四方を警戒区域と設定していた。
発射前後の時間帯はこの海域を通らないように呼び掛けていた。
しかし、発射予定時刻の10分前になっても区域内に残留する船舶を確認しており、安全に打ち上げられる限界の11時17分まで発射を延期したが、安全区域まで移動することができなかったという。
警戒区域については関係する行政機関に事前に相談し、地元の団体や個人に説明をしていた。
発射予定当日も周辺の海域に約10隻ほどの警戒船で監視して、周辺の船舶に無線で方向転換などを促していたという。
今回残留していた船舶は区域に深く侵入してしまっており間に合わなかったとのこと。
同社は詳しい経緯を調べ、同じことが起こらないように努めるとしています。
◆国内初の民間ロケット「カイロス」
「カイロス」が搭載しているのは、政府の小型人工衛星一基で高度約500㎞で地球を周回する軌道に投入する計画。
そしてこの軌道投入が成功すれば、民間企業が単独で開発したロケットとして国内初の結果となる。
同社は今回以外でも2021年に打ち上げの予定をしていたが、コロナ禍やロシアとウクライナの侵略問題の影響で計4回の延期を余儀なくされていた。
スペースワンの豊田正和社長は事前の説明会で「今回の事業は官主導から民主導へと日本自身が変わっていく一つのきっかけになってほしい」と語っていた。
◆今後の対策と今後の予定は?
スペースワンの阿部耕三執行委員は会見で「改善すべき点は教訓として生かしたい」と話し、今後の対策として、早めに指定区域(警戒区域)に近づかないように周知するなどして対策を講じるとしました。
また、ロケットの機体自体には問題はないとし、天候などを考慮したうえで次回の打ち上げの日程を2日前までに詳細を公表する予定だとしています。
報道陣の取材に対し、「次こそはという思いで作業を進め、期待に沿えるように全力を尽くしたい」と意気込みを語った。
◆日本でロケットの打ち上げができる場所は?
先ほどの『国内初の民間ロケット「カイロス」』で「国内初」というワードに疑問を持った人もいるのではないだろうか。
この国内初というのはあくまで「民間」の中で国内初ということであり、日本では過去に、宇宙航空研究開発機関が保有する「種子島宇宙センター」や「内之浦宇宙空間観測所」でのロケット発射の実績がある。
この2つは国立の施設であり、民間の施設としては今回の打ち上げの場所となった「スペースポート紀伊」と「北海道スペースポート」の2カ所がある。
過去にはその他の場所でも使用されたロケット発射場が存在している。
◆まとめ
今回は延期になってしまったが、このような試みは日本の成長に大きく影響する事例であると思う。
このような企業が今後も多数でてくれば日本の経済成長につながっていくことでしょう。
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